19世紀の終わり頃、ロシアの調査捕鯨船カタリナ号が、悪天候の中、氷山と衝突してしまい、北極海のど真ん中で座礁してしまった。

カタリナ号の船長以下8名は、幸いにも氷原に面していたために船を放棄し、僅かな食料と酒を持ってコンパスだけを頼りに死と隣り合わせの漂流生活を開始した。

ひたすら真っ白の氷原を歩いていくが、どこまで行っても何も見えない。中継地点のコテージまで行けば通信機器があるので、彼らはそこを目指していた。

数日後に、食料は底を尽きた。しかし歩みを止めるわけにはいかなかった彼らは、何も考えずにコテージを目指し続けた。

なんとかコテージに到達することが出来たが、既に生存者はたった2名になっていた。彼らは脱落した仲間の遺体を食べて、生き延びたのである。

救助が到着した時、彼らは罪の意識に苛まれ、せめて食べ残した仲間の遺体の一部を回収して欲しいと捜索隊に依頼した。

果たして、指定された地点に捜索隊のメンバーが向かうと、そこには息絶えた捕鯨船の船員はない。

捜索隊はそのまま座礁したカタリナを、タンカーで牽引することにしたが、ようやくカタリナを発見した彼らは飛び上がって驚いた。

なんと船内の寝室に、食べられたはずの船員が五体満足で凍死していたのである。

生き残った2人は、救助されるまでの間、何を口にしていたのだろうか。