幽霊のほとんどは、建物や土地に居つくという話がある。

地縛霊なんて呼ばれているのがこのタイプだ。こうした幽霊は、世界中どこでも目撃されている。

そして、とりわけ目撃例が多い地域や特定の建物は、都市伝説の舞台になったり、有名な心霊スポットになってしまう。

ドイツのハノーバーには、今から100年以上も前からしばしば女の子の幽霊が出ると噂される建物があったという。

肝試しの場としても知られていたその建物には、当時既に入居者もおらず、荒れ果てた状態だったようだ。

当然、火の気などあるはずもないのだが、何故か1902年に火災が発生してしまった。

レンガ造りだったというこの建物からは、窓ガラス越しに業火が滾っているのが確認できた。

騒ぎを聞いて集まり、火災を目撃していた多くの野次馬は、そのガラスの向こうに、女の子が立っているのを目撃したという。

慌てて消防隊員が中に突入した。危険を省みない男性だったとされている。

しかし、結果的に彼が女の子を救出することはできなかった。

なぜなら、消防隊員が助け出そうとした女の子は、黒煙に巻かれてもびくともせず、じっと彼を見つめたまま、全身から幾つもの火柱を上げていたというのだ。

消防隊員は恐れをなして逃げ出し、とうとう建物は全焼。

焼け跡から遺体が発見されることはなかった。

当時心霊スポットと化していたこの建物。相次ぐ来訪者に、女の子の幽霊も辟易していたのかも知れない。