スタジオジブリ作品のアニメーション映画は、日本中のあらゆる層に親しまれ、関連グッズは常に一定数の需要がある、息の長い映像メディアの一種である。都市伝説の類に登場しやすいのも、その知名度が見る者の目を引きやすいと考えられていたからだろう。
代表的なものが「となりのトトロ」に登場する主人公の姉妹が、じつは途中で死んでいるという話だ。劇中で他の人物との接触がある時を境になくなること、またトトロやネコバスは生身の人間には見えていないことなどがこの都市伝説に妙な信憑性を抱かせているのだが、「千と千尋の神隠し」にも面白い話はある。

曰くこれは北朝鮮の拉致被害をモチーフにしているというのである。

突然違う世界に迷い込んだ少女が、名前を変えさせられ(千尋という名前を千にされること自体が大陸的)低賃金で労働させられる。これがつまり、ある日いきなり工作員に拉致され、北朝鮮で新たに名前を与えられて、課せられた仕事をこなすよう強制されるという拉致被害者の体験に則して考えることが出来るのである。

確かに、言われてみればそう考えることも難しくない。何にせよ、ジブリ作品は作品テーマが確立されているものとそうでないものが存在しており、ある種、夢の中の出来事のようにも感じられる幻想的なこの作品の雰囲気が、様々な想像を掻き立ててくれるのは間違いない。

都市伝説の発祥の元として、これほど適した材料はないと言えるのだ。