金正日が生誕したとされる地は、北朝鮮の観光のメッカとして知られている山なのだが、ここには昔から人間を襲う怪物が出るのだという噂が立ったことがある。もちろん、この噂が広まっては大事に障るので、すぐに厳口令が敷かれた。

この山にはよく霧がかかるのだが、いわくこの霧の中に巨大な二つの目玉がらんらんと輝く、毒ガスのようなもので登山家を死に至らしめるなど、物騒な噂だったそうだ。もちろんこれらは誇張であるだろうが、現実にこの山の至るところには小動物の死骸が転がっている。

その死因は様々で、いつ入山しても色々な種類の動物が死に絶えているのが確認できる。

そして、その死因でもっとも多くを占めるものが、餓死なのだという。北朝鮮という国は、人間だけでなく、そこに生息している動物にも貧困をもたらすものだというのか。

こうした噂がもしも流布してしまえば、聖地として指定されているこの山の権威は奈落に落ちてしまうこととなる。国家がやっきになってこのような話を口止めしたのは、こうした理由がもっとも大きかったのであろう。

しかしながら、現実にこの山で多くの人々が怪物を目撃したという話は非常に多く、中には命を奪われた者も存在する。

その死体には、深い爪痕が刻まれており、全身はズタズタになって、内臓のほとんどが失われていたそうだ。

多くの人々はここで、熊の仕業ではないかと推測するだろうが、北朝鮮には熊が生息していない。

それどころか、土地自体が痩せているので猛獣はほとんど生息していないのだ。

では、被害者は一体何に襲われたのであろうか。北朝鮮では肉は貴重品で、一般人には敷居が高いものであるが、もしや…。