先頃、新たな指導者として金正恩が擁立されたばかりの北朝鮮。

中朝国境を越えて中国に逃げてきた脱北者の中に最近、北朝鮮軍の兵士が目立つ。中国当局に拘束された北朝鮮兵の多くは食料の不足などを脱北の主な理由としている。戦争への恐怖を口にする者もいるというといい、北朝鮮国内の緊張ぶりがうかがえる。

さて、北朝鮮では国防を最重視する北朝鮮では兵士は一般庶民よりも生活環境は恵まれており、以前はめったに脱北しなかった。

しかし、近年は経済が混乱してから兵士の脱北が目立ち始めた。哨戒艦沈没事件で韓国との関係が極度に悪化した以降は、さらに増えているという。

中朝国境地帯のある地区では、1月で5人以上の北朝鮮兵が山林などで拘束されたという。

いずれも私服を着て、とてもやせており、年齢は10代〜30代までさまざまだ。中朝国境全体では、相当数の北朝鮮兵が逃げ込んでいるとみられている。兵士たちの多くは、十分な食事が支給されないことに不満を募らせているという。

また、北朝鮮軍は戦闘準備態勢となっている模様で、兵士たちは異常な雰囲気を感じ取っている。

このため、戦争への恐怖や「戦争反対」を訴える兵士もいるという。拘束された兵士は、強制送還されたといい、北朝鮮で銃殺も含む厳しい処罰を下される可能性が高い。脱北した兵士によると、軍は極度に腐敗していて、国家からの支給品は上部組織から下部組織に渡る間に次々と着服され、末端の兵士が受け取る支給品はほんのわずか。トウモロコシの粉で作っためんが主食で肉や魚は少なく、栄養状態はひどい有様だという。