今まで粛々と圧制に耐え続けてきた、北朝鮮国民。

しかし、2011年あたりから、各地では暴動が発生しているという情報もある。

2011年9月。中国にに脱北した9人の男女は、北朝鮮東岸の清津とその近郊に住んでいた。

表向き自由市場が禁じられている北朝鮮だが、地方都市では大規模な市場が開かれ、住民生活に欠かせないものとなっている。

たしかに、北朝鮮ではイカの漁獲量も少なくは無いし、少なくとも海の恵みは享受できる環境にはあるようだ。その清津の市場の1つで同年4月、ストライキが発生した。

市場では店舗を構える場所によって売り上げに大きな差が出る。そのため管理当局が時折、場所替えを実施。

全体に不満が出ないようにバランスを取っていた。

当局による場所替えの頻度が高まり、店舗側が「固定客をつかめないじゃないか」と抗議。しかし当局はこれに耳を傾けず、同じことを繰り返した。

怒った出店者らが、売り場に出ても座らないという形でストライキに出た。

この抗議行動は、暴力的な取り締まりで知られる秘密警察の国家安全保衛部が投入された3日目に収まった。出店者たちが弾圧を恐れたためだという。

脱北者は「わたしたちは結局、保衛部の力に屈したということだ」とする一方、「市場が開設されておよそ10年になるが、示威と呼べるような事態は初めてで、非常に驚いた」と話す。

少しずつ、何かが変わろうとしているのかも知れない。北朝鮮住民の意識に変化の兆しが見えるともとれる証言だ。