国民に対して、治安機関が強大な権限を持つ北朝鮮という国。彼らは日本の警察のように「公僕」と蔑称されることもない。

さて、あまり報道はされないが、その治安状況は一体どのようなものなのだろうか。機能しているのか、していないのか、知らない者も多い。

命からがら中国に脱北者のひとりは「清津では、強盗や殺人、窃盗、恐喝といったありとあらゆる犯罪が増加。治安の低下は著しい」と語っている。

そしてさらに深刻なのが、薬物の蔓延なのだという。先日も教職者が麻薬の密売に手を染めて処刑されてしまったばかり。決して珍しいことではないようだ。

北朝鮮では「ピンドゥ」と呼ばれる質の悪い覚醒剤が主流である。これは製造コストこそかからないものの、トリップ度は非常に低い代物であるそうだ。

もちろん、こうした覚醒剤はおおっぴらに市場で流通しているわけではないが、個々では特定のルートをたどって密売されているとのことである。

脱北者は語る。「自分自身で使用したことはないが、「現在、1gあたり130中国元。以前はグラムあたり70元ほどだったが、取り締まりが厳しくなり、流通が難しくなって価格が急上昇した」

大概の国家では蔓延してしかるべきこのような覚醒剤だが、一方で使用すれば厳罰という法律がしっかりと存在する。

北朝鮮というと、この法律がうやむやであるかのようにも報道されるのだが、実際にはこうした物の取り締まりはしっかりと行っているのが現状である。

もっとも、それ以外の取り締まりもまた、尋常ではないのだが。