現在、地球上に存在している実質的な独裁国家は、シリア・イエメン・北朝鮮の三カ国である。

シリアもイエメンも中東の国家であるのだが、政情は極めて不安定で治安も悪い。

しかし、独裁国家においての「治安の悪化」は、それだけ民衆に現状への不満が高まっているということにも繋がる。

フランス革命でもそうだった。

シリア・イエメン両国は、まさにこの革命前夜の状態である。「砂漠の狂犬」と称されたリビアの独裁者カダフィも倒れた今、その気運は更に高まっている。

しかし、一方で北朝鮮の民衆はどうであろうか。金正日死去という、まさに千載一遇の勝機をみすみす逃し、相変わらず奴隷のような生活を送っている。

あるいは彼らを負け犬、臆病者と罵る者もあるだろう。しかし、実際には彼らを責めるのはお門違いである。

北朝鮮の国民のほとんどは、諸外国もまた、自国のような社会主義の国ばかりであると洗脳されているのだ。

また、全ての国家は偉大なる北朝鮮の属国でしかないと教え込まれている。地球上に自由があるはずがないと信じ込んでいるのだ。

独裁というものは、国家全体にかけられた呪いでしかない。そして、呪いというものはいつの時代も実態のないものだ。

呪縛が恐ろしいから、人は萎縮する。直面する命の危機には、人間は目を背けるのだから。しかし、実際には北朝鮮という国家に、もはや未来などない。

国民が金政権の瓦解を信用しなければ始まらない。まずは自国の窮状を私たちが喧伝しなくてはならないのである。