敵国の領空進入に備え、朝鮮空軍が研究・開発した独特な偵察機N-78「飛雲」は、史上最も非伝統的な偵察機と言える。

このジェット式偵察機には4台のエンジンが装着され、外殻はポリスチレンを使用し、雲のような形で、ステルス効果もある。

N-78は空中の不審な「雲」を監視する任務に当たる予定だが、このプロジェクトはうまく進んでいないようだ。

さて、ステルス効果と書いたが、これは私たちの良く知るレーダーに認識されないという意味のステルスではない。

でっぷりと太ったマグロのような飛行機本体に、綿のようなものを接着し、あくまでも見た目が視認されにくい偵察機となっているだけなのだ。

「あんたレーダーの存在を知っているのか」と、設計者には問い詰めたくなる。

こんなものでも開発に着手するには、最高指導者の承認が必要だ。普通、こんな欠陥マシンの設計図と開発プランを提示されたら怒り心頭だと思うのだが。

綿菓子にまみれた白マグロという表現がよく似合う、極めて奇抜な外見をしているのだ。

以前にも北朝鮮は、木材を外装として用いた規格外にもろい戦闘機の開発を行っていたことがあるが、今回もなかなか野心的な機体となっている。

もっとも、資源に限りのある北朝鮮の懐具合が垣間見えて非常に物悲しい気持ちになってしまうのだが。

ちなみに、海外に移住したある朝鮮の気象学者によると、「飛雲」は3回目の飛行で本物の雲の中に消え、二度と姿を見せなかったという。