金正日総書記没後、北朝鮮政府からは「金正日総書記死去後100日間の哀悼期間に脱北した場合、家族を皆殺しにする」という声明を発表した。

国家の混乱に乗じての脱北を目論もうとする国民の感情を恐怖で束縛しようとする、いつもの手だ。

多くの国民はこれに萎縮してしまったのだが、果敢にも38度線を越えた家族は三桁は下らないともされている。

軍事境界線では通常よりも多くの兵士が配されていたが、それでも国境を越えた北朝鮮人は多かったと言われている。

しかし、恐ろしいことに上記の声明は、脱北後の人民にもしつこく圧し掛かってきた。

北朝鮮の治安部隊のエージェントがそのまま追跡に乗り出したのである。

多くの脱北者の潜伏する中国も、当然その対象となった。実際に2012年2月8日から12日までの間に、相当数の脱北者が捕縛された。

捕まった以上、彼らに残された道はただ一つしかない。それは労働所でも炭鉱でもなく、死刑台に上ることだ。

声明に反して逃げだした彼らは、一族郎党揃って皆殺しにされる運命にあった。

脱北に反対し、自らは北に留まった親族ももちろんいただろうが、そんなものは関係ない。その親族も含めて「裏切り者」とするのが北朝鮮なのだ。

その処刑は公開のものとなり、北朝鮮の人民はこれを見に行くことを政府に促される。

自らの網膜に裏切った者の末路を見せつけ、その心を完全に叩き砕く。こうすることでのみ、北朝鮮は国家の形態を保っていられるのだ。