あまりにも有能な技術者であったため、逆に日の目を見ることが叶わなかった稀代の研究者に、ニコラ・テスラの名を挙げる者は多いだろう。
彼は死後になってその功績を認められたため、現代ではかなりの数の研究者に崇拝されている存在である。彼は今から100年近くも前に、電線を介せず電気エネルギーを送信し、遠隔地にあっても電力を供給させるという今においても夢の様な構想を抱えていた。

これを証明すべく、コロラドのある町で1899年に行われた実験がある。情報とエネルギーを無線で世界中に送信するという信じられない実験だ。

しかしこの計画はあえなく頓挫してしまった。一般には費用がかさんでしまったためとされているが、一説にはこの実験の成功によって利権を手放す危険性を危惧したロックフェラー財団が中止に追い込んだとも言われている。テスラはこの実験の中断に一際悔しさを滲ませたという。当然だ。これが成功すれば、100年以上前にインターネットより便利なものが完成していたのだから。

また、計画が頓挫した理由のもう一つに、軍事転用が可能だということも挙げられるだろう。

彼の理論に基づいた場合、自国の兵を動かすこともせず、何もない空間から突如敵国に対して攻撃を加えることが可能になるのだ。テスラの死後行われたフィラデルフィア計画はあまりに有名な都市伝説だが、これも奇怪な結末を招いただけで終わってしまった。

肝心のテスラ無しでは計画は成り立たなかったようだ。アメリカはこの代替案として、マンハッタン計画を発案。後年原爆の開発を開始した。